治療百話

瞑眩
(めんげん)

鍼灸治療の刺激によってだるさ、痛み、異常な眠気、
その他の症状を強く感じることがあり、これを瞑眩(めんげん)あるいは好転反応と呼びます。
これは、病気が治る過程で発現する現象を指します。
その特徴は
①毒が排出される②急激に起こり、症状が激しい③必ず快方に向かうです。
滅多に起きる現象ではありませんが、知っておけば安心です。

術後のケア

鍼灸治療は手術後のケアの有効性が認められています(WHO)。
鍼は痛みに対しての効果が非常に高いことが知られています。
術後、鍼灸治療を受けることで鎮痛薬が少なくて済む分、副作用を抑えることができ、
術後一番重要な体力回復に役立つと言われています。

手術はゴールではなく術後からが本当の戦いであることが多いのが現実です。
痛みの緩和、副作用のケア、免疫低下を未然に防ぎ再発を防止する体調管理、
なにより闘病・治療そのものに対するストレスの緩和・・・
鍼灸治療は色々な面でお役にたてます!

小児鍼

『えっ?子どもにはりを刺すの?』いえいえ、はりにもいろいろあって、
刺さないはりもあるのです。
小児はりは江戸時代に大阪で生まれたという日本独特の技法です。

産まれてから小学生くらいまでが対象です。
適応症は、夜泣き、キーキー言う、かみつくなど、
ちょっと困った症状から、最近増えている鼻炎・喘息などのアレルギー疾患、おねしょなど。
気持ち良い刺激で心も身体も開
いて、自律神経が整い、免疫力UPにもつながりますよ。

一人であれこれ悩む前に一度ご相談下さい。


風邪

ひとくちに風邪といってもその症状は様々です。風邪かな?と感じたら、まず『大椎(だいつい)』に
お灸をすえてみましょう。これで大抵の風邪の予防ができます。大椎は最もすぐれた風邪の治療ツボです。
また、「風邪は頸(くび)から」といわれるように、肩、背の部分にも効果のあるツボが多くあります。
大椎周辺を温めて、身体の抵抗力を高め、血流を良くして風邪の予防と治療に役立てましょう 
大椎は頸の後ろ側で首を前に曲げたとき、最も飛び出す骨の下


ゆううつ

虚脱感、無気力感におちいって不眠傾向、倦怠感、頭重感などを感じる場合は、
全身の活力が衰えているので、活力回復を目標にしたツボ療法を試してみましょう。
指で強く押したり、お灸をすえたりするのがよいでしょう。

ふだんから、これらの
ツボをもみほぐす癖をつけておくと、精神安定に役立ちます。


嘔吐・吐き気

一般には食中毒、消化不良、極度の疲労による胃の気の不調などによって起こりますが、
他に、メイエル氏病、メニエル症候群など耳に関わる疾患や、
風邪、あるいはつわりでも起こります。

 《治療穴》 
 

一鍼同体

東洋医学では病気を治療するのではなく、病人を治そうとします。
病人が病んでいるのはからだと同時に心です。からだ全体がよくなれば
結果として病気の症状はなくなってしまいます。
実は自分のからだは自分でしか治せません。
治療する側の気持ちが鍼を通して患者に伝わってしまうので一鍼同体です。
だから心をこめて患者に向き合います。からだと心に元気がつけば病気は
治ります。治療院では治療者の一鍼が、また自分で毎日続けるお灸が
治すぞ! という意識を高め、からだと心に変化をもたらします。

眼精疲労と妊娠力

冷房の効いた室内でパソコンを長時間見るという毎日を続けるとどうなる
でしょうか?運動不足により気血の巡りや水分代謝が悪くなり、
眼や頭の使いすぎによって血を消耗してしまいます。本来肝に蔵されるべき血を
過剰に消耗すると供給できる血が不足します。卵巣・子宮などの血流量を
必要とする臓器に血が巡らなくなると骨盤内が冷え、妊娠力の低いからだ
になってしまいます。
日頃の酷使を癒すマメなケアが実は女性力向上にも関係しているのです。

女性のからだと鍼灸

女性の一生にはリズムがあります。その年齢の節々をうまく過ごすことがとても
大切なことです。妊娠・出産のためにはそれ以前の思春期・婚前のからだ作りが大事だし、
分娩・産褥期の養生がのちの更年期をスムーズに過ごす条件になります。自然の恵みで
お産をするのだという当たり前のことをもう一度意識してみましょう。自然に起こっているからだの
リズムをきちんと捉える、この原始的な感覚がとても重要です。たとえば生理周期に伴い骨盤も
微妙に開閉していますが、骨盤内が冷えているなどの理由で骨盤の動きが硬い、
また下肢も冷え足首の動きが硬い若い女性が増えています。正しいリズムを維持する後押
しに
鍼灸治療は有効です。
とりわけ自分でもできるお灸はよいです。
女性の
ための万能ツボ『三陰交』は血行を促進し、ホルモンバランスを整えてくれます。

プロの技腹診

鍼灸治療には、胸腹部の状態を診る腹診があります。五臓および全身の
気血水の状態を推しはかる大切な診断方法です。健康なときは弾力の
あるやわらかなお腹です。では不調のときは・・・?下腹部を押したときに
ぐりっとした塊があり痛みを感じるようなときは血の巡りが悪い

表わしています。月経不順など婦人科系のトラブルの原因にもなります。
また、胃の辺りにぽちゃぽちゃと音がするような場合は、
胃腸の機能低下で余分な水分が停滞していることを表わします。
下腹部がぶよぶよして力がないようなときはの不調を表わし、
腰痛、疲れやすい、不妊などのトラブルの原因です。その他にも
気の亢進しすぎや、ストレスの強さなどに特有なお腹の症状があり、
鍼灸師はそれを診断した上で治療を始めます。

肩凝り

根をつめて仕事をしたためという人の他に、心配や精神的疲労、
長年の睡眠不足や便秘、高血圧などからきていると考えられるものもあります。
根本的な原因を除くという事も大切ですが、肩こりがひどくなると吐き気が
したり不眠症になったりする事があります。
我慢しないで早いうちに治療しましょう。

治療穴


便秘

便秘を訴える人は、大変多く、3,4日に1回とか、ひどければ1週間に1
などという人もいます。やっと出ても兎のフンのようなのが少しだけとか。  
また、便意はあるのに排出困難で時間がかかるという場合もあります。
出るべき便が出ないと、頭痛を起したり、不眠になったり、勿論痔になる
可能性が高いですし、将来腸の病気を起すことになりかねません。
便秘だからと、軽んじないで早いうちに治しましょう。

治療穴

捻挫

足の捻挫は足首に起こることが最も多く、患部に熱を持ったり、内出血したり、
歩けないほどのこともあります。先ずは腫れや熱が収まるまでの23は、炎
症を抑え内出血を悪化させないように、患部を冷やして安静を保ちます。骨折
でないことを確認した上で、腫れが収まったらお灸で温めましょう。内出血の吸
収を促し、痛みの緩和のためにはお灸が効果的!

ここが特効ツボ!

丘墟(きゅうきょ)申脈(しんみゃく)金門(きんもん)

このほか、足三里、陽陵泉、陰陵泉等、膝の周囲にも緊張が現れるのでお灸
で温めてみましょう。

不眠

不眠とは、安眠や熟睡が出来ないことで、なかなか眠りに入らない、眠った後で
目覚めやすい、眠れたり眠れなかったりする、始めは眠れるが途中で目が覚め
てその後眠れない、ひどい場合は一晩中眠れない・・・などがあります。

たいていは過度の精神的疲労から来る物です。

失眠(しつみん)足底のかかとの中央です。風池(ふうち)後頭部にあります。少
しうつむくと、耳の中央から両傍にかけて大きい筋肉がありますが、その両側で、
髪の生え際のくぼみです。

ウオノメ

足の裏などにできる、痛くてとても不快なできもの、ウオノメ。これは特定の部位が繰り返し圧
迫や摩擦などの刺激を受けることで、角質が厚くなり、やがて楔(くさび)状の芯になって真皮
内に食い込んだものです。

 さて、ウオノメの治し方ですが、実に他愛もない話で申し訳ないのですが、そのウオノメの上
にお灸をすればよいのです。ただし肝心なことはウオノメからはみ出さないサイズの小さいもぐさ
を作って、周囲を焼かないようにすることです。ウオノメの厚い角質層はお灸を最後まで燃やし
てもなかなか熱くはなりません。そこで、何度も何度もたくさんすえることになります。そして熱さを
感じたらその日は終わりです。毎日続けて一週間ぐらいすると中心部の芯が浮き上がってきて
ポロリと取れます。これで治ってしまいます。 

  もぐさを小さくまとめるのは難しいですが、やっているうちにだんだん上手になりますのでガンバ
てみましょう。


お腹が冷えた 裏内定

奇穴または阿是穴(あぜけつ)とも呼ばれる、ある疾患に対して特別
な効果があるツボがあります。そのひとつである
裏内庭は食中毒・
食あたり・腹痛・下痢の特効ツボです。

足の第2指を折り曲げて足裏側につけたときに指の腹にあたる
場所。マジックでしるしをつけましょう。そこに米粒大のもぐさ
でお灸します。お腹が冷えているときは燃やしきっても、なんと
全く熱さを感じません!そこで熱さを感じるまでお灸をし続けま
す。連続して3回熱さを感じたらもう一方の足に移ります。同じ
ように3回連続熱さを感じたら終わりです。

激しい下痢だけではなく、「お腹の冷え」は元気がでない・食
欲不振など“なんとなく不調”の原因のひとつ。そういう時は裏
内庭にお灸!当院でもよく治療に使うツボです。

足三里

足三里は足の疲れをとり、胃腸の働きを促進、全身の活力を高めるツボです。
長寿穴としても古来親しまれてきました。芭蕉が「三里に灸するなどして」旅の
支度をしたことはよく知られています。

足三里辺りを拳で20回位軽く叩きます。食べ過ぎや冷えてお腹が痛い、食
欲がない等
消化器系の不調がある場合は温めると楽で、お灸、またはお風呂
があれば両足を膝までお湯につける
膝湯をしましょう。

消化器系の調子が上がると元気がめぐり、として活力も湧いてきます



血の巡りが停滞して血がどろどろになったことを東洋医学で『瘀血(お
けつ)』 と呼びます。お血は全身に影響を及ぼす多くの病気の元です。
「痛む」「しこる」「黒ずむ」 が3大サイン。ストレスや環境、食生活、冷え
などでお血症状は近年若い人にも増加中。お血は病気の原因である
と同時に体が悪
くなった結果出るサインでもあり、そのお血がさらに新たな病気をもたら
す悪循環に。

お血を一発で治す対症療法はなく毎日こつこつと続ける根気強い治
療が必要です。鍼灸は最適な治療方法の一つです。 鍼灸治療+毎
日のお灸!体質改善の一歩をお灸から始めましょう。

手当てするツボは鍼灸師が印をつけてくれますよ

むくみ

からだを巡る水分が停滞し、たまってしまった状態がむくみ(浮腫)。ツ
ボ刺激で体の水分の循環を良くしましょう!


手当てするツボは鍼灸師が印をつけてくれますよ

口内炎


痛くてつらい口内炎。一日も早く治したいですよね。過労、睡眠不足
、胃腸の不具合などがある時に出やすいと言われていますが、口瘡点
(こうそうてん)というツボに刺激を加えるのが効果的。お灸、鍼などのほか
手で強く押してもよいです。また、合谷、手三里、曲池など大腸経のツボは炎症
による痛みの緩和と胃腸機能を調整するのにも役立ちます。手足など末端に
あるところに手当するのは患部の熱を引っぱっておろすという効果があるそう
ですよ。

妊娠力

不妊の原因を特定することは難しいですが、虚弱、冷え性、血行不良などの体質
である場合が多いようです。女性の場合は血行不良によって内臓機能が低下する
と子宮や卵巣にもっとも影響が出やすいのです。中医学的には性ホルモンの働きを
つかさどるのは『腎』、子宮や卵巣に充分な栄養を送るのは『血』です。血は質も量も
大事です。妊娠力=女性力。妊娠力の高いカラダは若々しく、婦人科系の不調に悩
まされることなく更年期もラクに過ごせます。

 この妊娠力(女性力)アップの体質改善に鍼灸治療が注目されており、産院でも
積極的に鍼灸治療を取り入れています。当院でも妊娠前後の方が大勢受診されて
います。鍼灸師のアドバイスを受けながら自宅でもお灸や養生をすることで、効果的
な体質改善、女性力アップができますよ!

*続編にて具体例を紹介する予定。乞うご期待!